アンネ・フランク問題の続きを書こうと思っていましたが、ちょうど映画が公開中なので(観てないけど)気分を変えてこちらの感想を書いておこうと思います。映画は何か怖いらしいです。
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『変な家』の方は、だいぶ前に読みました。読了が2022年12月なのでもう1年半近く前になるのか~。たしか映画化が決まって話題になった頃で、シリーズ第2弾の『変な絵』と一緒に、書店で平積みになっていました。
「間取りミステリ」という斬新なアイデアに興味があり『変な家』の方をまず読んでみたわけですが……。この後ちょっとネタバレがあるかもしれません。あまり具体的なことは書かないつもりですが、何も知りたくないという方はご注意ください。
最初に言っておくと私は『家』より『絵』の方が面白いと思いました。形式も雰囲気もかなり異なっていて、『家』はつまらなかったという方も『絵』の方は楽しめる可能性があります。なぜかというと、私がそうだったからです。
……そう、『家』を読んだ時は正直イマイチだなと思ったんですよ。
なぜかというとですね、謎解きの面白さがない。主人公は自分のもとに持ち込まれる情報を受け止めるだけ。栗原さんは調査していたのかもしれませんが、その様子はよくわからず、結局真相を知っている人に会いに行って「実はこういう経緯がありました」と教えてもらって終わりです。何だそれって感じ。セリフだけで進行するような形式も好きじゃないし。
それで、このシリーズだめじゃんと思ってしばらく忘れていましたが、機会があって第2弾の『変な絵』を読んでみたところ、こちらは面白かった!
ちゃんと謎解きのプロセスがありますし、叙述トリックの仕掛けもありました。それぞれが独立した短編でありながら相互に関連があり、最後まで読むと全体像がしっかり結ばれるという結末。ラストの記述が冒頭と呼応しており、構成がきちんと作り込まれています。書き方も前作とは違って、ちゃんと「地の文」があります。
『家』と『絵』は独立した作品で、共通要素はあるものの順番通り読まなくても問題ないでしょう。作者の雨穴さんは本名・経歴・顔写真等すべて非公開の覆面作家ですが、両作品を読んでみて「中の人」が複数いるという可能性もあるのでは……と思ったくらいです。
事件ごとにそのカギとなる「絵」が登場するところは、ジェイソン・レクーラックの『奇妙な絵』や道尾秀介の『いけない』シリーズに通じるところがありますね。
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『いけない』シリーズについては、以前に感想を書きました。
その勢いで道尾秀介の『フォトミステリー』も読んでみましたが……こちらはイマイチでした。そんなに厚くもない1冊の中に50以上のショートショートがあり、ひとつひとつが短すぎて読みごたえがない。もっとストーリーがあって文字密度の高い作品の方が好きです。
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美術とミステリってけっこう相性が良いですよね。謎解きをするように絵画を読み解いていくのも楽しいものです。
『変な家2』はまだ読んでいませんが……まぁそのうちに読むかも。
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