2024年4月30日火曜日

「大吉原展」その2・展示感想編

東京藝術大学大学美術館で開催中の「大吉原展」について。開催前の炎上騒動については前回詳しく書きました。今回は展示内容についての感想です。

その前に、大事なことなので前回の注意事項を繰り返しておきます。

  • 図録は大きくて重い。東京新聞のサイトから通販可
  • ひととおり見るだけで2時間は必要(個人差あり)
  • 展示室に作品リストが置かれていない(4月12日の状況)

2024年4月29日月曜日

「大吉原展」その1・吉原炎上編

個別展覧会の感想はあまり書いていないのですが、これは書いておくべきかなと思いました。

大吉原展(東京藝術大学大学美術館)

2024年の注目展覧会として雑誌にも載っており、個人的に楽しみにしていた展覧会でした。

ですが開催前に展覧会の趣旨や広報の在り方などに批判が起きて炎上し、少々心配な事態になったので、それも含めて記録を残しておこうと思います。長くなったので2回に分けました。今回の内容は開催前の炎上騒ぎです。

展覧会の内容については次回に書きますが、これからご覧になる方のために簡単に注意点など。

まず、図録は厚さ約3cmの大型本です。東京新聞のオンラインショップでも通販できるみたいなので、買ってすぐ読みたいのでなければ通販の方が良いかもしれません。マジ重かった。

図録のボリュームがあるということは作品点数が多いということですね。ひととおり見るだけで2時間は必要かと思います。余裕をもってお越しください(って誰目線)。

それから、展示室には作品リストが置いてありませんでした。特設サイトのトップや、東京藝大のサイトにPDFデータがあるので、必要な人は各自で印刷するかダウンロードして見てね、ということでしょうね。リストにメモを取る習慣のある方は要注意です。

2024年4月22日月曜日

1月に鑑賞した展覧会


今年に入ってから、まだ展覧会の振り返りをやっていませんでした。1月は東京で以下の展覧会を鑑賞しました。

ゴッホと静物画ー伝統から革新へ(SOMPO美術館)
ゴッホを中心に静物画の歴史と変遷を体験する構成。《アイリス》と《ひまわり》のツーショットに胸熱。

キュビスム展―美の革命(国立西洋美術館)
キュビスムの起源から誕生、発展、拡散していく過程がわかります。見た目は奇抜ですが、単なる「ヘンテコな思いつき」ではなく理論的な裏付けがあり、ピュリスムや抽象絵画に発展していく系譜の中に位置づけられていることが実感できました。

モネ 連作の情景(上野の森美術館)
連作だけではなく、連作も含めたモネの世界――モネという画家が自然と向き合い、作品に取り組むプロセスをたどっていく構成が面白かった。

サムライ、浮世絵師になる!鳥文斎栄之展(千葉市美術館)
浮世絵、特に美人画の展覧会ではよく見かける栄之ですが、メインで見たのは初めてです。経歴やお弟子さんの存在など、初めて知ることが多かった。

本阿弥光悦の大宇宙(東京国立博物館)
「琳派の祖」という、ふわっとした印象しかなかった光悦さんですが、思ったよりずっと幅広い分野で活躍されていたのですね。家業が刀の鑑定であることも、実は今回初めて知りました。

千葉市美術館は久しぶりの訪問になりましたが、やはり遠い!でも内容は充実していました。前半3つはいずれも、近代以降の美術史を時系列で再構成するような形のものが並びました。昨年のうちに見たかったもので、ようやく見られてスッキリ。今年はSOMPO美術館のラインナップが気になっています。北欧の神秘とかロートレックとか、好みの展覧会が色々ありますね。関西方面へも遠征してみたいと思います。


2024年4月15日月曜日

『アンネの日記』が最もよく売れた国は?

前々回の記事では、林 志弦著『犠牲者意識ナショナリズム』について簡単な感想を書きましたが、その中で「『アンネの日記』に関する記述については、そうかな?と首をかしげる所」があると

というわけで今回は、『犠牲者意識ナショナリズム』の中で気になった『アンネの日記』に関する記述についてツッコミを入れていきたいと思います。

アムステルダムの運河

気になった記述とは、以下のようなものです。

『アンネの日記』が最もよく売れた国が日本だというのは少し意外だ。1952年に初めて日本語版が出て以降、20世紀末までに400万部が売れた。少なくとも4種類の漫画版の販売部数と3種類のアニメ版を見た観客数まで足せば、日記に触れた日本人の数はもっと多くなる。
(第4章「国民化」の「東アジアの記憶とホロコーストの国民化」)

2024年4月8日月曜日

『変な家』『変な絵』

アンネ・フランク問題の続きを書こうと思っていましたが、ちょうど映画が公開中なので(観てないけど)気分を変えてこちらの感想を書いておこうと思います。映画は何か怖いらしいです。


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『変な家』の方は、だいぶ前に読みました。読了が2022年12月なのでもう1年半近く前になるのか~。たしか映画化が決まって話題になった頃で、シリーズ第2弾の『変な絵』と一緒に、書店で平積みになっていました。

「間取りミステリ」という斬新なアイデアに興味があり『変な家』の方をまず読んでみたわけですが……。この後ちょっとネタバレがあるかもしれません。あまり具体的なことは書かないつもりですが、何も知りたくないという方はご注意ください。

2024年4月1日月曜日

『犠牲者意識ナショナリズム』

背景画像をパレスチナカラーのスイカに変更しました。ウクライナカラーの小麦畑と交替で使おうと思います。

さて今回は、昨年読んだ中で、最も印象深かった本です。質量ともにボリュームがありすぎて、ひととおり読むだけでヘトヘトになりました。


『犠牲者意識ナショナリズム 国境を超える「記憶」の戦争』林 志弦(楽天)
『犠牲者意識ナショナリズム 国境を超える「記憶」の戦争』林 志弦(Amazon)

タイトルから何となく「日本人は戦争の被害ばかりを主張して加害に向き合っておらん!」と叱られる本なのかなと思っていました。しかし読んでみると、韓国とポーランドに辛辣。え、そこまで言っちゃって良いんですか……と不安になるほどの記述も。

「大吉原展」その2・展示感想編

東京藝術大学大学美術館で開催中の「大吉原展」について。開催前の炎上騒動については前回詳しく書きました。今回は展示内容についての感想です。 その前に、大事なことなので前回の注意事項を繰り返しておきます。 図録は大きくて重い。東京新聞のサイトから通販可 ひととおり見る...