2022年12月31日土曜日

2022年展覧会ベスト5


今年も、マイベスト展覧会を選んでみました。例年と同じく、順位は付けず見た順に記載しています。でも敢えて1位だけ選ぶなら、千葉市美のジャポニスム展かな。千葉市美は遠くて行くのが大変なうえ、図録を購入することも多いので結構くたびれます。来年は行くことができるのでしょうか。


ジャポニスム―世界を魅了した浮世絵(千葉市美術館)
浮世絵とアールヌーボーを並べるというオーソドックスな構成かと思ったら、色・構図・モチーフ・時代背景など、さまざまな角度から分析が行われ、さらにロシアのジャポニスムという新しい要素が加わるという盛りだくさんな内容。奥行きのある、というかありすぎて迷子になりそうな展覧会でした。

山本作兵衛展(東京富士美術館)
お目当ては企画展の上村三代展だったのですが、三代展の後に「ついで」のつもりで寄った常設展示室のこれがすごかった!炭坑の様子を生々しく描いた作品の数々。当時の労働環境や、その中で生き抜いた人々の姿が強く印象に残りました。ユネスコ「世界の記憶」に選ばれたのも納得です。

生誕110年 香月泰男展(練馬区立美術館)
「戦争画」というと藤田嗣治や宮本三郎など「東近美の3階」の風景が思い浮かびますが、香月の作品も、画家の戦争体験から生まれた別の「戦争画」と言えるのでしょう。重苦しい、しかし目を背けてはいけない作品が多数あります。この展覧会を鑑賞したすぐ後に、ブチャの虐殺が報じられました。

シダネルとマルタン展(SOMPO美術館)
間接的な柔らかな光の中に浮かび上がるシダネルの作品は、人物はほとんど描かれていないのに人の気配があり、郷愁のような切なさを感じさせます。マルタンの作品は光あふれる南仏の風景。初期の象徴主義的作品も良かったです。

ヴァロットン―黒と白三菱一号館美術館
モノトーンで摺られたミステリアスな世界。謎、倦怠、誘惑、犯罪といった世紀末感にあふれ、洗練された作品の数々が強い印象を残し、昨年の「あやしい絵展」に続いて近代社会の内面というものを考えさせられました。会場の設えも素晴らしかったと思います。

今年は以上です。

来年からは美術鑑賞の方法も大きく変わると思いますが、見たい展覧会はもうすでにいくつか決めてあるので、これから予定を立てたいと思います。現在あちこちで発表され始めているベスト展覧会の記事を見ているうちに、府中の諏訪敦展にも行かなきゃ!という気持ちになってきてますよ~。時間あるかな?

来年もこのブログをよろしくお願い致します。皆様どうぞ良いお年をお迎えください。


日経おとなのOFF 絶対見逃せない美術展2023(日経トレンディ2023年1月号増刊)


美術の窓 2022年 12月号

2022年12月30日金曜日

10月、11月に鑑賞した展覧会


展覧会の振り返りも今年最後になりました(12月は鑑賞ゼロ)。今年のベストもこれから考えます!

ピカソとその時代(国立西洋美術館)
ベルリンにあるベルクグリューン美術館のコレクション展。コレクターであるハインツ・ベルクグリューンによる選択の個性とともに、その時代背景を関連付ける展示方式が印象に残りました。

フェルメールと17世紀オランダ絵画展(宮城県美術館)
2月に都美館で鑑賞しましたが、巡回してきたので再訪。構成が少し変わっていて面白かったです。作品が一部欠番になっていたのが残念。

ヴァロットン 黒と白(三菱一号館美術館)
この美術館でヴァロットン展を見るのは二度目。前回は油彩画が多かったのですが、今回は白黒の版画が中心。ミステリアスな感じが良かったです。会場にもいろいろ凝った仕掛けがあって楽しめました。

年明けには東京に遠征したいと思っています。お目当ては都美のエゴン・シーレと出光の若冲。


2022年12月25日日曜日

国宝シリーズ第3集@仙台中央郵便局

仙台でも「郵活」を始めました。まずは、10月に発行された国宝シリーズです。

その前の「国際文通週間」は郵頼したのですが、国宝の方は手押し・機械印ともに63円切手に押したかったので、郵便局へ行って来ました。郵頼の場合、手押しと機械印を別々に申し込まないといけないのですよね。シール切手はシート単位で申し込むので、今回の場合だと63円のシートを2枚買うことになってしまいます。それはいくら何でも無駄が多いので、郵便局で押してもらうことにしたわけです。

それで作成したのが下の2枚。

2022年12月18日日曜日

Postcrossing 再開!

しばらくお休みしていたPostcrossing(略称ポスクロ)を再開することにしました。

ポスクロとは、世界中にポストカードを送り合うシステムです。送り先の住所はランダムに割り振られ、その人にハガキを送ると、別のメンバーから自分宛てにハガキが送られてくるという仕組みになっています。詳しくはデイリーポータルの記事をご覧ください。昨年4月の記事です。

で、ですね。ちょっと気づいたことがあるのでいくつかメモ的に書いておこうと思います。

2022年12月16日金曜日

9月に鑑賞した展覧会

9月の鑑賞は4展。東京の3展は日帰り弾丸ツアーで回ってきました。宮城県美術館には初めて行きましたが、ここは良いですね!何が良いかって、カンディンスキーの《商人たちの到着》を所蔵しているのですよ。5年前に汐留の展覧会で拝見して、強く印象に残った作品です。

ポンペイ(宮城県美術館):東博で見逃して残念に思っていたので、思いがけず鑑賞できてラッキー。ポンペイという都市を内側と外側から眺めて全体像を組み立てるような構成。「災害考古学」という分野にも興味を持ちました。

ボストン美術館展 芸術×力(東京都美術館):2年前にコロナ禍で中止になり、がっかりしていましたが、まさかの復活!権力者と宗教の関係や、英国王戴冠式の一場面など、2年前だったら違う印象だったろうな~と思う所がいろいろありました。

美をつくし - 大阪市立美術館コレクション(サントリー美術館):改修工事で長期休館中の巡回展。仏教美術や江戸絵画などオーソドックスなラインナップの後に根付のコレクションがあり、これがとても可愛いですね。美術館に収蔵される前の個人コレクションとしての来歴にも興味を持ちました。

ゲルハルト・リヒター展(東京国立近代美術館):初公開の《ビルケナウ》が話題の展覧会。リヒターが何を表現したかったのか、まだちょっと消化しきれていない所がありますが、まずは見て良かったと思います。


2022年12月12日月曜日

6月、7月に鑑賞した展覧会

 

展覧会の振り返りも5月で止まっていました。2ヶ月分まとめて振り返ります。6月と7月は「ぐるっとパス消化月間」みたいになりました。3館がぐるぱ入場、サントリーは年パスなので1枚もチケットを買っていません。

建物公開2022 アール・デコの貴重書(東京都庭園美術館)
年に一度の建物公開。インテリアと展示品の本が作り出す展示空間が素敵でした。

光陰礼讃 - モネからはじまる住友洋画コレクション(泉屋博古館 東京)
リニューアル後の初訪問。今までは日本画の展覧会しか拝見していませんでしたが、洋画のコレクションもこんなにあるのですね。

芭蕉布-人間国宝・平良敏子と喜如嘉の手仕事-大倉集古館
久しぶりの訪問。泉屋博古から歩いてすぐの場所にあります。芭蕉布というものの存在を初めて知りました。鑑賞してから3ヶ月ほど経って、平良敏子さんが亡くなられたという報道に接しました。

歌枕 あなたの知らない心の風景(サントリー美術館)
「歌枕」とは、古来から多数の歌に読み込まれ、共通のイメージを醸成してきた地名のこと。それは和歌という媒体を超えて絵画や工芸品にも広く浸透してきました。

8月は多忙につき鑑賞なし。次回は9月の鑑賞を振り返ります。

2022年12月6日火曜日

引っ越しました


久しぶりの投稿になります。実は夏の終わりに東京を離れ、杜の都・仙台に引っ越してきました。

それまで住んでいたのは東京都の多摩地域にある東大和市という所で、今年の6月にはこんなポスターが話題になりました。

ポスターのテーマは、市の面積の4分の1を占める「多摩湖」。多摩湖の面積の99%は東大和市だが、市民でも多摩湖は東村山市にあると思っている人が多いという。(上掲記事本文より)

多摩湖の取水塔は造形が美しく、市の象徴として住民票にも市報にも風景印にもこのデザインが使われています。なので、東大和市に住んでいると「多摩湖=東大和市」は当然かと思っていたら、そうでもないみたい。そういえば、マンホールの蓋のデザインでは、東村山市の方でこの取水塔を多く見かけた気がします。などと言いつつ私は東大和市に来るまで多摩湖自体を知りませんでしたけどw

私のWebサイト本館のタイトルが Lakeside Hermitage なのは、住んでいる市内に多摩湖があることに因んでいます。ということは、引っ越したらサイト名も変えるべきなのかもしれませんが、面倒なので変えません。仙台市内にも湖のひとつくらいどこかにあるでしょう(←いい加減)。

さて仙台。東京と比べると空間の密度が低いというか、ゆとりがあるように感じます。秋は紅葉が美しく、街の佇まいは気に入りました。よく行っていたお店も(鳥貴族以外は)あるし、便利ですよね。これで美術館がもう少し多ければ言うことなしです。

「大吉原展」その2・展示感想編

東京藝術大学大学美術館で開催中の「大吉原展」について。開催前の炎上騒動については前回詳しく書きました。今回は展示内容についての感想です。 その前に、大事なことなので前回の注意事項を繰り返しておきます。 図録は大きくて重い。東京新聞のサイトから通販可 ひととおり見る...