今年も、マイベスト展覧会を選んでみました。例年と同じく、順位は付けず見た順に記載しています。でも敢えて1位だけ選ぶなら、千葉市美のジャポニスム展かな。千葉市美は遠くて行くのが大変なうえ、図録を購入することも多いので結構くたびれます。来年は行くことができるのでしょうか。
ジャポニスム―世界を魅了した浮世絵(千葉市美術館)
浮世絵とアールヌーボーを並べるというオーソドックスな構成かと思ったら、色・構図・モチーフ・時代背景など、さまざまな角度から分析が行われ、さらにロシアのジャポニスムという新しい要素が加わるという盛りだくさんな内容。奥行きのある、というかありすぎて迷子になりそうな展覧会でした。
山本作兵衛展(東京富士美術館)
お目当ては企画展の上村三代展だったのですが、三代展の後に「ついで」のつもりで寄った常設展示室のこれがすごかった!炭坑の様子を生々しく描いた作品の数々。当時の労働環境や、その中で生き抜いた人々の姿が強く印象に残りました。ユネスコ「世界の記憶」に選ばれたのも納得です。
生誕110年 香月泰男展(練馬区立美術館)
「戦争画」というと藤田嗣治や宮本三郎など「東近美の3階」の風景が思い浮かびますが、香月の作品も、画家の戦争体験から生まれた別の「戦争画」と言えるのでしょう。重苦しい、しかし目を背けてはいけない作品が多数あります。この展覧会を鑑賞したすぐ後に、ブチャの虐殺が報じられました。
シダネルとマルタン展(SOMPO美術館)
間接的な柔らかな光の中に浮かび上がるシダネルの作品は、人物はほとんど描かれていないのに人の気配があり、郷愁のような切なさを感じさせます。マルタンの作品は光あふれる南仏の風景。初期の象徴主義的作品も良かったです。
ヴァロットン―黒と白(三菱一号館美術館)
モノトーンで摺られたミステリアスな世界。謎、倦怠、誘惑、犯罪といった世紀末感にあふれ、洗練された作品の数々が強い印象を残し、昨年の「あやしい絵展」に続いて近代社会の内面というものを考えさせられました。会場の設えも素晴らしかったと思います。
今年は以上です。
来年からは美術鑑賞の方法も大きく変わると思いますが、見たい展覧会はもうすでにいくつか決めてあるので、これから予定を立てたいと思います。現在あちこちで発表され始めているベスト展覧会の記事を見ているうちに、府中の諏訪敦展にも行かなきゃ!という気持ちになってきてますよ~。時間あるかな?
来年もこのブログをよろしくお願い致します。皆様どうぞ良いお年をお迎えください。
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