ジャーナリストの伊藤詩織氏が自らの性被害を題材に制作した映画「Black Box Diaries」について、昨年の3月に書きました。
- 映画「Black Box Diaries」をめぐる問題 その1:問題点の整理
- 映画「Black Box Diaries」をめぐる問題 その2:東京新聞は「誤報」したのか
- 映画「Black Box Diaries」をめぐる問題 その3:沖縄タイムスと神奈川新聞は「誤報」問題をどう報じたか
その時は映像の許諾問題などで日本公開の見通しは立っていませんでしたが、10月に伊藤氏が許諾に関する謝罪文を公式サイトに掲載し、12月に入って品川の1館のみで上映が始まり好評を博しました。
そしてその後すぐに他地域でも上映が決定し、何と仙台でも12月26日から上映が始まりました(1月8日まで)。このスピードには正直びっくりですよ。
それまでは、仙台で見られるのは年明けだろうから年末年始にゆっくり情報を整理して書籍版も読んでおこう――と思っていました。でもせっかくなので舞台挨拶付きの回を見ようと思い、年末に行って来ました。
なので、情報を整理しきれず書籍版も読めていないという状況で映画を見ることになってしまいましたが、感想として、とても良かったです。
良い映画、影響力の強い映画を見た後は映画館を出た後、来た時とは世界が違って見えることがありますが、この時は本当にそんな感じでした。人間の感覚に訴える力を持つ作品だと思います。
しかし、それはそれとして作品に関するいくつかの問題点を無視することはできません。ざっくり箇条書きにすると、
- ホテルの防犯カメラ映像の無許諾使用(契約違反)
- タクシー運転手の映像の使用(プライバシー侵害)
- 捜査官の声と映像の使用(取材源を秘匿していない?)
- 非公開集会の映像の使用(一部が無許諾、プライバシー侵害)
- 弁護士との会話の無断録音・使用、事実を曲げるような使い方
……ですね。
このうち、1の映像は作品で使用されていましたが「CGで再構成した」という報道があったような気がします。なのでクリアされたのだろうと思っていますが、契約上本当にOKなのか?確信はありません。
2は謝罪文の掲載や映像の加工を行い、被写体の同意を得てクリアされています。
3はどう決着をつけたのかよくわかりませんが、個人的には使っていいんじゃない?と思っています(理由は後日書きます)。
4は映像加工で対応済み。
5の件がまだ未解決で、この問題がいちばん根深そうな気がします。
以下、まだちゃんと読めていませんが伊藤氏が謝罪文を発表した昨年10月下旬から1月4日までの報道記事などをリンクしておきます。
- 伊藤詩織さんが映像の無断使用巡り謝罪文 「協議中も使用を続けたことについても謝罪」(10月27日 Yahoo!ニュース)
- 伊藤詩織さん、運転手に謝罪 それでも残る「映像無断使用」の問題…元代理人「一歩前進だが、説明はないまま」(10月29日 弁護士ドットコムニュース)
- 「重大な人権上の問題をはらんでいる」伊藤詩織氏の映画を元弁護団の弁護士が強く批判(12月11日 テレ朝NEWS)
- 伊藤詩織さん、自身の映画の許諾問題を語る 日本公開版、一部は修正(12月12日 朝日新聞)
- 「『こんなことが起きたら』と想像して」伊藤詩織さんの映画、国内公開 元代理人ら問題視(12月12日 産経新聞)
- 無許諾映像「重要な証拠」 伊藤詩織さん、公益性主張 一部は修正 ドキュメンタリー映画、日本公開(12月13日 朝日新聞)
- 映画公開中の伊藤詩織さん「ファクトチェックなしに情報広がり残念」、東京新聞記者を名指し「謝罪がない」(12月15日 弁護士ドットコムニュース)
- 伊藤詩織さんが会見、映画公開は「感謝」無許可使用指摘の元代理人に反論「間違っている」(12月15日 産経新聞)
- 伊藤詩織さん会見、懸念唱えたかつての「伴走者」に謝罪なく…映像使用の正当化に終始(12月16日 産経新聞)
- 伊藤詩織さんが記者会見 許諾ない映像や音声の使用について説明(12月16日 朝日新聞)
- 伊藤詩織監督『Black Box Diaries』をめぐる噛み合わない議論の本質。「10ヵ月後の会見」で見えた食い違い(12月18日 FRaU)
- 「編集室は事実上、スターの集まりだった」商業としての『ブラック・ボックス・ダイアリーズ』 老練な戦略と稚拙な説明のコントラスト(12月28日 集英社オンライン)
- 伊藤詩織さんの映画『Black Box Diaries』が一挙上映拡大で、議論は新たな段階に入った(12月28日 Yahoo!ニュース)
- 『Black Box Diaries』について(12月28日 Kawakami Takuya's miscellany)
- 「修正版を見せたい」「書面で答えて」伊藤詩織『Black Box Diaries』日本公開の裏で何が…元代理人と修正をめぐるファクス泥沼60枚超の全容(12月28日 集英社オンライン)
- ついに公開「Black Box Diaries」は“魂の闘い”の記録だ 胸打つ内容と人権侵害(1月4日 毎日新聞)

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