びっくりしました。先週7月6日発売の、いわゆる「文春砲」
開いてみると、こんなですよ。
岸田内閣の官房副長官・木原誠二氏については、今までも愛人や隠し子をめぐるスキャンダルが報じられてきて、その時はまぁ、プライベートなことだしな……と遠巻きに見ていました。しかし夫人が殺人事件の重要参考人となると、ただごとではありません。TwitterのTLが「ざわついている」感じにつられて買ってきてしまいました。
でも記事を読んでみると、事件が起きたのは2006年のこと。ご結婚前の話なので、木原さんは直接関係ないですね。警察に圧力をかけたようにも読み取れません。夫人のご家族が警察官だったとういことで、むしろ警察のお仲間擁護(米国ドラマでよくいう「Blue Wall」)が問題ではないのかと思いました。
【追記:上記の記述は7月13日号の第1弾に関するものです。続報はあまりチェックしていません】
それはそれとして、木原氏の選挙区は東京20区で、昨年まで私が住んでいた東大和市もここに入っています。全国ニュースで取り上げられることはあまりなかったと思いますが、でもけっこう面白い選挙区だった(過去形)んですよ。
この選挙区で投票することはもうないでしょうから、今回の件をきっかけに記憶をたどってみることにしました。以降、事件についての記載はありませんので、ご了承くださいね。
候補者や得票数などのデータは、Wikipediaのページを参考にしました。
■ 東京都第20区
第41回衆議院議員総選挙(1996年)衆議院が中選挙区から小選挙区制に変わって初めての選挙。東京20区では新進党の大野由利子氏と自民党の清水清一朗氏がギリギリまで競り合った結果、977票差で大野さんが勝利。私はこの頃、まだ東大和市に住んでいなかったのでよく知りませんが、かなりのデッドヒートだったようで、この時の激戦が後々まで影響を残すことになります。
第42回衆議院議員総選挙(2000年)
前回の選挙の後、新進党は分裂して大野さんは公明党の議員となりました。そして自民党との連立を経て、前回激しく争った両氏がこの選挙ではどちらも与党所属ということに。で、東京20区の公認候補は大野さんに決まりました。やはり前職が優先ということでしょうね。
清水さんは比例単独に回るという選択肢もあったと思いますが、無所属で出馬。与党の2人が激しくバトっているのを尻目に民主党から出馬した新人の加藤公一さんが大勝で初当選という結果になりました。加藤さんはラッキーでしたね。
大野さんは比例復活もかなわず落選。ここで引退です。
第43回衆議院議員総選挙(2003年)
大野さんの引退に伴い、今回の選挙では清水さんが晴れて与党候補になりました。が、やはり前回までの経緯があったせいか公明党からの協力は得られず。対抗馬の加藤さんも、今回は前職ですから、やはり強いですね。加藤さんが連勝、清水さんは今回も落選です。
これで清水さんは小選挙区3連敗ですから、次はもうないんじゃないかと思っていましたが、意外な展開に。
第44回衆議院議員総選挙(2005年)
いわゆる「郵政選挙」です。自民党が歴史的な大勝をおさめた選挙になりましたが、「小泉劇場」一色になったのは公示後のこと。解散直後の頃は自民党がそこまで大勝するとはあまり思われていなかったように記憶しています。
前回の選挙からまだ2年も経っていない時期での解散で、自民党東京20区の候補はなかなか発表されませんでした。候補者のなり手がいないんだろうか? もしかして清水さんが4回目の挑戦? と、モヤモヤしながら報道をチェックしていました。
で、公示の少し前にようやく発表されたのが、今の官房副長官である木原誠二さんです。じゃあ清水さんはもう引退なのかなと思ったら、何と比例単独候補として名簿の下の方に載っていました。民主党は前職の加藤さん。
結果は木原さんが当選しましたが、2位の加藤さんも惜敗率98%超えの猛追で比例復活。そして東京都の選挙区で自民党候補が次々と当選したため、比例区は順位の低かった清水さんも当選となりました。
つまり、東京20区から実質的に議員が3名選出されたようなものですよね。これはちょっと異例なことでは……と当時は思ったのですが、考えてみたらコスタリカ方式ではよくある話かもしれません。
木原さんは、この選挙区で初めて勝利した自民党候補ということになります。
第45回衆議院議員総選挙(2009年)
政権交代が実現し、民主党政権が成立した選挙。前回の選挙で自民党の東京20区は木原さんのものになったのかと思ったら、そうでもなかったみたい。Wikipedia情報ですが、清水さんも小選挙区での出馬を望んでいろいろ運動していたらしいです。ポスターとか見かけたかなぁ? 清水さんの本拠地は東村山市なので、東大和市ではどうだったか、ちょっと時間が経ちすぎていて記憶がないです。
ともかく、選挙区の公認候補は木原さんになり、清水さんは立候補しないことになりました。まぁこの時の情勢で比例当選はまず無理だし、以前のような無所属出馬もあり得ないでしょう。
結果は加藤さんが勝利して4選。木原さんは比例復活できず落選となりました。
第46回衆議院議員総選挙(2012年)
再び政権交代が行われ、自民党が政権に復帰したこの選挙。選挙区では木原さんが雪辱を果たして2回目の当選。加藤さんは民主党政権時代、菅直人さんの側近として短期間とはいえ首相補佐官を務めた実績があり、選挙も5回目ですから後援会組織もちゃんとしているはずなのですが、逆風に勝てず落選。
この時の選挙では、意外な人が立候補していました。当時は全然気にしていなくて印象に残っていないのですが、日本維新の会から野田数さんという方が立候補して3位で落選しています。そう、4年後に小池都知事の秘書となり、翌年「都民ファーストの会」の代表に就任したあの方です。
第47回衆議院議員総選挙(2014年)
前回の解散からまだ2年というタイミングで行われた選挙。自民党は木原さん、民主党は加藤さんが再チャレンジだろうと思っていましたが、公示後にびっくり。民主党の候補が竹田光明さんという知らん人に変わっていました。
どうやら公示直前に決まったらしく、それまで姿を見かけた記憶もありません。ポスターは普通に加藤さんのが貼ってあったと思います。なぜ土壇場で候補者が、しかもより弱そうな方に変わったのでしょう。党内で何かあったのでしょうか。加藤さんはこれ以降、まったく姿を見かけなくなってしまいました。
竹田さんは2009年の総選挙で比例単独候補として初当選。2012年には東京25区から出馬して落選し、今回20区に移ってきたようです。出身が東村山なので地縁はあるとしても、有権者からしたら「誰?」って感じですし、失礼ながら当選を期待されていたとも思えないのですよね……。
結果は木原さんが大差をつけて当選。このあたりでもう木原さんの実力が安定してきて、面白みに欠ける選挙区になってきた気がします。竹田さんはその後、希望の党を経て維新に移り、2023年現在は再び東京20区での出馬を予定されているようです。でも木原さんが相手ではちょっと(以下略)
第48回衆議院議員総選挙(2017年)
「希望の党」騒動が吹き荒れたこの年。新しく結党された立憲民主党が話題を集めましたが、東京20区は共産党の宮本徹さんが野党共闘の統一候補となりました。
今まで自民党と民主党を中心に書いてきましたが、共産党の候補の方も毎回おられたんですよね。無視していてすみません。2003年からは池田真理子さんという方が、12~13%くらいを地道に得票されていました。唯一、共産党の得票が多かった2014年の選挙では、池田さんの得票率も2割を超えています。
その池田さんに代って候補者となった宮本さん、前回は比例単独候補でした。今回も選挙区では勝てませんでしたが比例で復活当選。この時は不破哲三さんが応援演説に来られたりして、共産党の選挙活動もいつもより注目されていた気がします。
希望の党からは鹿野晃さんという新人の方が出馬していましたが、第3位で落選。その後別の選挙区に移られたようですが、武蔵野市長選挙にも出ておられましたか?
第49回衆議院議員総選挙(2021年)
小選挙区で木原さんが当選、次点の宮本さんが比例復活。前回と同じで、このパターンが定着してきた感があります。そうなると「ドラマ」を期待できる要素もなく、いつもと同じように始まって終わってしまうんですよね。木原さんも今後どんどん偉くなって、選挙中もあまり地元に入らなくなるのでしょう(他の候補の応援で忙しくなるから)。
この時の選挙では、こんな場面があったみたいです。
朝は相手候補の木原せいじ陣営と、なぜか、バッティング。国民の声が届かない自民党政権の継続か、野党共闘で国民の声が生きる政治へ政権交代か。追いつき、追い越せで、頑張ります。 pic.twitter.com/TALig6nC0k
— 宮本徹 (@miyamototooru) October 21, 2021
爽やかで良い感じのツーショットですよね。マスクとタスキの色使いがまるで狙ったみたいです。
でも宮本さんの復活当選には批判的な見方もあるみたい。宮本さんは比例順位が2位で固定なので、比例枠2名で当選できたわけですが、惜敗率で見ると東京12区の池内沙織さんの方が上なのです。他の政党では、重複立候補者は同じ順位にして惜敗率の高い方から当選するようにしている所が多いですよね。これって不公平なんじゃ? というわけです。
個人的には、比例代表制では党が順序を決めて良いと思っていますが、この件に関しては池内さんに当選してほしかったという気はしますね。やはり女性議員はもっと増えるべきだと思っているので。ジェンダーギャップや比例代表については、詳しく書き始めるとそれだけで記事がいくつも必要になるので、このへんで止めておきます。
そんなこんなで、文春の記事をきっかけに(関係ないけど)20年以上にわたる選挙区事情を振り返ってみました。
6月解散が結局なかったので、仙台での初選挙は今月末の仙台市議会議員選挙ということになりました。宮城県は衆議院の選挙区が次から1つ減ってしまうので、それをめぐるドラマもいろいろとありそうです。
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