2022年5月3日火曜日

月イチで翻訳ミステリを読んでみた(2021年下半期)


月イチ翻訳ミステリ、2021年下半期の記録です。月イチと言いつつ読めてない月がありますが……。

■ 7月度


『評決の代償』グレアム・ムーア

7月度はあまり「ピンとくる」作品がありません。法廷ものはわりと好きなのでこれを読もうかな~と思いつつまだ未読。

■ 8月度


『彼と彼女の衝撃の瞬間』アリス・フィーニー

彼(警察官)と彼女(記者)の視点が交互に切り替わり、かつその合間に「犯人」のモノローグがはさまるという形式。「犯人」の正体はわからないまま、なおかつ語り手としての2人にも万全の信頼をおけないという不安定な状態で読み進めるので、まぁ嫌いじゃないですが少々の居心地の悪さがあるかも。この人がアレなのかな、というのが少々わかりやすすぎる?と思っていたら、最後でもう一ひねりありました。

■ 9月度


『亡国のハントレス』ケイト・クイン

第二次大戦中にナチスの手先として数々の暗殺行為を行い「ハントレス(女狩人)」と呼ばれる女性がいた。彼女の行方を追うナチ・ハンター、ソ連空軍で「夜の魔女」と呼ばれた元パイロット、そして父親の再婚相手に疑問を抱くアメリカ人女性。ハントレスを追う三者のストーリーはとても面白かったのですが、そのぶん「ハントレス」本人の印象が薄かったかな。

■ 10月度


『時は殺人者(上)』ミシェル・ビュッシ


『時は殺人者(下)』ミシェル・ビュッシ

『黒い睡蓮』で「えーっ」と言わされたミシェル・ビュッシ。少女時代に車の事故で両親と兄を亡くした主人公が、27年後に事故後初めてその地を訪れ、死んだはずの母親から手紙を受け取る――というミステリアスな導入部。その謎は最後に明らかになりますが、前作ほどの「えーっ」感はありませんでした。それが「前作よりフェア」という評価の理由なのでしょうか。

■ 11月度


『ベルリンに堕ちる闇』サイモン・スカロウ

11月は読みたいもの大杉!フランシス・ハーディングの異世界小説『ガラスの顔』、ラップランドを舞台にしたオリヴィエ・トリュックの『影のない四十日間』、そして優先度の高いナチスもの、サイモン・スカロウの『ベルリンに堕ちる闇』が気になっていますが、何だか気になった作品が多すぎるとかえって読み始められないですね。とりあえずナチスものを読もうかなと思っています。

■ 12月度


『レイン・ドッグズ』エイドリアン・マッキンティ

11月どれにしよう!と迷っている間に偶然機会があり、こちらを先に読みました。1980年代の北アイルランドが舞台で、ちょっと「リーバス警部」を思わせる雰囲気があります。読み始めてから気づいたのですが、これもシリーズものだったんですね。と思ったらもうすでにシリーズ5作目。すっかり「世界」ができあがっている感があり、新参者はあまり入っていけませんでした。1作目から読み直すほどでもないかな。

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