2021年7月11日日曜日

「オンライン展覧会」の可能性

東京都では昨年から緊急事態が何度も宣言され、美術館めぐりも難しい状況が続いていました。見る側としては「つまらないなぁ」程度で済んでいますが、美術館の側は大変だろうと思います。

そんな中で新しく「オンライン展覧会」という試みが始まりました。

オンラインの展覧会には、YouTubeやニコニコなどで会場の様子を動画で見せたり学芸員さんが解説したりするもの(基本的に無料)と、有料でデータを販売するものがあります。

浮世絵専門の美術館、太田記念美術館さんは有料のオンライン展覧会を note で開催しています。

 ■太田記念美術館 (note)

無料で読める記事だけでも十分面白いのですが、「オンライン展覧会」は展示作品すべての画像と解説を見ることができます。だから図録の代わりにもなりますよね。

ここで、1月に忙しくて行けなかった「和装男子」を購入しました。それで読んでみた結果、本物を見る体験の代替にはなりませんが、これはこれで「あり」だなと思っています。その理由をまとめてみました。

和装男子」(太田記念美術館)

理由1:画像と本物の落差が小さい

浮世絵は何といっても印刷物なので、もとが平面的です。油絵や彫刻作品だと、本物の持つ「生の迫力」があるし、日本画でも屏風なんかは立体感がありますよね。その点浮世絵は、実物とはもちろん違いますが、それほど差が大きくないように思います。

理由2:サイズ感が予想できる

画像や画集と本物の違いとして、サイズ感という要素も大きいと思います。実物を見て「あ、こんなに小さかったんだ」と思うことやその逆の体験、けっこうありませんか?

その点、浮世絵はサイズが割と統一されているので、「大判錦絵」というとどれくらいか、それが三連につながるとどれくらいになるか、だいたい想像がつきます。

理由3:展示空間が実感できる

これは完全に個人的な理由ですが、私はここ数年、年間パスポートを購入して皆勤賞で訪問していました。また、展示空間があまり柔軟ではなくレイアウトも基本的に毎回同じです。なので、「オンライン展覧会」に掲載されていた展示室の写真を見た瞬間、室内の様子がすごくリアルに想像できたのですね。行き慣れていない美術館だと、少々戸惑いがあったかもしれません。悪く言えばマンネリかもしれませんが、よく言えば安定しているというか「行った気になれる感」があります。

というわけで、浮世絵の「オンライン展覧会」は今後も活用したいと思います。7月12日からまた緊急事態宣言が出るとのこと。今回、美術館は休館にはならないみたいですが、状況によってはどうなるかわかりません。

感染症の一日も早い収束を願いつつ


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