2024年9月30日月曜日

自民党と立憲民主党

代表選挙と総裁選挙が終わりましたね。もうすぐ新しい内閣が発足し、即解散となりそうな情勢です(9月30日現在)。3年前の第1次岸田内閣もあっという間でしたが、第1次石破内閣はそれよりさらに短くなるようです(総選挙の後は第2次内閣になるので)。

さて、そういうわけで最近読んで面白かった政治の本をご紹介します。まずは23日に新代表が決まった立憲民主党の方から。

出版されたのは昨年ですがようやく読めました。この1年の間にもいろいろありましたが、これからは、さらにいろいろありますね。

著者の尾中さんは長年野党の番記者をなさっていた方で、ポリタスTVでのご出演を何度か拝見しました。正直ちょっと立憲民主党に甘すぎるのでは……と思ったこともあるのですが、これを読んで、その評価にもちゃんと背景があるのだなと思いました。

内容をざっくり言うと、前半は90年代の政治改革の時代から始まる政治状況の時系列的な解説、後半に今後の展望などが記されています。

個人的には、タイトルにもありますが大手メディア等に見られる「保守二大政党制志向」への批判に注目。「保守二大政党制」を望む声には以前から違和感を感じていたので、それ私だけじゃなかったんだ…と、少し気持ちが楽になりました。また「リベラルは少数派」と言われ続けて精神的に削られている人にも心強く感じられるのではないでしょうか。

最後の方にある「個別の政策よりも『目指す社会像』でまとまろう」という主張はわかりやすいですね。「自助と自己責任の社会か、お互いに支え合う社会か」というと何となく後者の方が良さそうに見えるものの、現在の野田体制でそうなるかは疑問だし、石破政権に対抗していけるのかはもっと疑問なのですが(理由は後述)。

さて、本書を読みながら何となく「自助と自己責任=新自由主義=保守」「支え合い=社会民主主義=リベラル」という図式を思い浮かべていましたが、その図式に異を唱えているのが政治学者の中島岳志さんです。図式というか言葉使いですね。リベラルに対抗するのは保守ではなく「パターナル」であるというのです。詳細と具体例は『自民党 価値とリスクのマトリクス』に記載されています。

これは2019年5月の出版で、首相(当時)の安倍晋三さんと、首相候補者と目される有力政治家8名の著書や論考などを分析して政治的な立ち位置をマップに表しています。2019年といえば、安倍さんの総裁任期があと2年で満了する時期ですから、後継者がいろいろ取り沙汰されていました。ここに挙げられている8名、小渕優子さん以外は皆総裁選に出ているし、ポスト安倍の総裁3名(菅、岸田、石破)も全員含まれています。

で、そのマッピングに使われているのが次のような図です。

上掲書「はじめに」より

上下の軸は、生活のリスクを社会全体で支えるか個人の自己責任で何とかするか。大きな政府と小さな政府、社会民主主義と新自由主義、福祉国家と夜警国家。いろいろ呼び方はありますが令和の日本では「大きな政府=リベラル」、「小さな政府=保守」と捉えられることが多いように思います。しかし自民党の「保守本流」はむしろ「大きな政府」寄りだったことを思うと確かに変な感じですよね。

左右の軸は個人の価値観の問題。権威・権力のある者に従い、集団の中での秩序を重んじるか(パターナル)、個人の自由を尊重するか(リベラル)。最近の論点としては選択的夫婦別姓や同性婚などが挙げられます。これについては「保守とリベラル」という捉え方に私はあまり違和感を感じないのですが、「パターナル(父権主義、あるいは家父長的?)」と言ってしまうと封建的な印象が生じるので保守派の方々には忌避されるかもしれません(でも実際そうなんじゃ?)。

で、次に首相になるはずの石破茂さんは本書では上図で言うとIIIの領域、まぁ極端ではないにしてもリベラル寄り、新自由主義寄りに位置付けられています。ただ、著者中島氏の最近のツイート(ポスト)として次のようなものがあります。

リンク先の記事は朝日の「Web論座」で、現在はサービスを終了して記事は有料会員限定になっているようです。私は会員ではないので読めないのですが、ポストを見る限りでは「リスクの社会化」に転換しているのですか? いや、もともと田中派だったはずなので(ですよね?)元に戻ったと言うべきか。いずれにしても、こうなると立憲も攻め方を考えないとですね。

私は石破さんというと「極右政治家」のイメージだったのですが、Xなどで「左派」とも呼ばれているのは、こういうところに理由があるのでしょうか。うーん、でもやっぱり「左派」とは言いにくいなぁ。

この「右派」「左派」という呼び方もちょっと曲者ですね。これはリスクや価値についても使われますが、外交・安全保障に関しても使われるからです。特に「極右」と言う場合はそうだと思います。この場合は「タカ派」「ハト派」という呼び方があるので、それを使った方が良いのかも。石破さんは「タカ派」と言ってまず間違いないでしょうから。

外交・安全保障の他に歴史認識という要素もあるかもしれませんが、これはこれで難しい問題なのでここではスルーしておきます。

そんなこんなで、今月中には総選挙があるみたいです。皆さん投票に行きましょうね。

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