いきなり昨年の話で恐縮ですが、2020年に鑑賞した展覧会のベスト5を選んでみました。例年はベスト10なのですが、何せ昨年は新型コロナウィルスのせいで鑑賞できた展覧会の数が極端に少なくなってしまいました。そんなわけで、今年は半分に絞ってベスト5です!
例によって順位はつけず鑑賞した順に。
1. ハマスホイとデンマーク絵画(東京都美術館)
北欧の風景と人々の暮らし。ハマスホイが描き出す不思議な空間、独特の雰囲気がありました。イブニングレクチャーにも行きたかったのですが、コロナで中止に。
2. ロンドン・ナショナル・ギャラリー展(国立西洋美術館)
開催直前に感染拡大で美術館が休館になってしまい、開催が危ぶまれていましたが、無事に開催されて良かったです。作品の搬入と展示は完了していて、ロンドンへも返すに返せない状況だったと思うので、遅くなっても見ることはきっとできる!と信じて待っていました。
メインビジュアルになっているゴッホの《ひまわり》が注目されていた感じですが、私は《聖エミディウスを伴う受胎告知》とゴーガンの《花瓶の花》が良かったと思いました。
3. ピーター・ドイグ展(東京国立近代美術館)
これも2日ぐらい開催した後で休館になってしまいましたが、会期が延長されて無事に鑑賞できました。透明感のある色遣い、絵の中に入っていけそうな空間の広がりが印象に残りました。4. あるがままのアート(東京藝術大学大学美術館)
今年はアール・ブリュットの展覧会をいくつか鑑賞したので、代表でこれを選びました。アール・ブリュットといえば、従来の定義では「正式な美術教育を受けていない」という条件が入っていたと思いますが(現代では必ずしもそうではないみたい)、その展覧会が美術教育の総本山的な東京藝大で開催される、という所に意味があるように思います。
5. 日本美術の裏の裏(サントリー美術館)
サントリー美術館リニューアル・オープン記念展の第二弾。「生活の中の美」「暮らしを彩る美術品」という切り口で、何と展示室の中に和室のような空間を創ってしまうという方法にびっくり。そして《洛中洛外図》の展示方法にもびっくり。ですが、これが本来の「使い方」なんだなと納得させられました。
次点:
式場隆三郎 腦室反射鏡(練馬区立美術館)
有名で名前はよく見かけるのに、まとまった業績や経歴を知る機会がありませんでした。思った以上に多岐にわたる分野で活動されていたのですね。
1894Visions ルドン、ロートレック展(三菱一号館美術館)
1894年は旧三菱一号館が建設された年。表題のルドンとロートレックを中心に、その時代に活躍した画家の作品を集めた展覧会。時代の雰囲気が感じられました。
さて今年はどんな作品に出会えるのでしょうか。現時点ではカラヴァッジョの《キリストの埋葬》、モネの《かささぎ》には絶対に会いに行きたいと思っています。コンスタブル展とグランマ・モーゼス展も楽しみ。
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